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イバラード物語

井上直久さんの素敵な世界、イバラード


めげゾウぬいぐるみ
めげゾウぬいぐるみ

「イバラード異聞」(初出1982年VIEWY/山猫舎)という作品(上半分がコミック、下半分がイバラードの事物の解説となっています)で提示されたイバラードという素敵で楽しく懐かしい異世界を、ぼくは「イバラード物語」(青心社1985年4月25日初版発行)で初めて知りました。
ルリタバコやめげゾウ、テラモデルといったものも、タルーラとブラウジー、メーキンソーにスコッペロといった楽しい登場人物も、植物と一体化した不思議な建物も、どれをとってみても魅力的で惹きつけられる稀有な作品です。
映画「耳をすませば」の主人公雫の空想シーンで登場し、「イバラード物語」も再販されました。なにより、CD-ROMになったのが嬉しかったです。
ぼくの使うPCのごみ箱のアイコンはどれもめげゾウになっています。(笑)
98年の夏、豊科で開かれた個展に行ってきました。井上直久さんの作品がずらりと展示されていて、とても良かったです。写真のめげゾウはそこで入手したものです。


イバラード物語の魅力

なんで、こんなに魅力的なんでしょう。不思議ですね。
ひとつには、繰り返し再生産されている物語消費の漫画世界の中でも、オリジナリティが高いことがあげられます。
不可思議で、しかもきちんと考えられた世界を見る魅力があります。たとえば、

ズリの場
ラピス・ラズリを煙にして吸い込むと、物の表面がありありと見えるようになり、たとえば肌のでこぼこのひとつひとつがはっきりとわかるようになり、そしてそのように思いこんでしまうと、実際自分の肌もでこぼこになってしまって戻らなくなるという。

これはなにか、そんな麻薬の魅力を語っているような怪しさと怖さがあります。

ソルマ
映り込みでの補強。ソルマの中の濡れた小石に、周りの景色が映りこんでいるのを利用して、周りの景色まで補強してソルマで再現できてしまう。
レイトレーシングや、フラクタル。
自己相同性の世界を想起させます。

めげゾウ
ずっと昔に滅んだと言う人もあり、なにかの寓話だと言う人もあり、潜在願望の実態化だと言う人もあります。
いずれにせよ、そのあまりの存在感に圧倒され、魔法を使おうと言う気力をなくしてしますのです。
実際、ニーニャのおじいさんは、めげゾウを見てしまったために、魔法使いとして二流なのです。
そのある種おちぼれた姿は、無能の人にも似て、恐ろしいものです。


「イバラード物語」
青心社

「イバラード物語−ラピュタのある風景−」
青心社
ISBN4-87892-074-2

CD-ROM「イバラードの旅」
シンフォレスト
SF-045

CD-ROM「イバラードの世界」
シンフォレスト
SF-100

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文市(あやち)=青野宣昭