文市の小箱茶室
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出発
目が覚めると5時50分、寝過ごしました。4時半に起きて始発の計画は廃棄、時刻表を繰ります。新大阪0700始発のぞみなら次善の策を打てます。服を来てBD-1Cを担いで部屋を出ます。時計を見ると甲子園口発まであと10分余り、間に合わないかも。棚に転がっていた腕時計をはめて外に出ます。しばらくしていなかった腕時計の針は滅茶苦茶な方向を指しています。
甲子園口駅前に着くとなんとか間に合いました。腕時計の針は正確に現在時刻を指しています。さすがキネティックオートリレイは便利。電車に乗り込み新大阪までの間に日付だけ修正します。時刻表のページを何ページも飛び飛びに辿って行程を確認します。列車が遅れなければこのルートでぎりぎり行けるはず。4時半起きで出るのに比べて目的地には1本の差です。
新大阪で乗換精算口へ急ぎます。有人窓口は並んでいます。自動販売機で特急券と乗車券を買います。新下関から乗り換えの乗車券で「こ」から検索しても目的の下車駅が出ません。読み方が違うのかなあ、地図では「こ」だったのに。とりあえず新下関までの乗車券にして改札へ急ぎます。いつもと反対の下りホームに駆け上がり、止まっている新幹線に自転車を置きます。あと2分ある、売店でサンドウィッチとジュースを買って戻ります。乗った新幹線をよく見るとひかりレールスター、0700のぞみじゃありません。ホーム向かいだ!発射のベルが鳴る中あわてて正しい列車に乗り移ります。
自由席までのぞみの中を歩き、結局1号車に席を確保します。ワゴン販売のコーヒーを頼み、朝食にします。ホッ。
iFP-899
広島駅で乗換です。こだまの停まるホーム中央まで歩き、売店で川通り餅とお茶を買います。こだまに乗車してiFP-899でOggVorbisファイルにしてある曲を流します。1GBフラッシュ内蔵で40g+単三電池1本で40時間再生のmp3プレイヤーです。付属のイヤホンの音質は悪いのでビクターのコード収納式ヘッドホンに替えてあります。音質も良く、自転車乗りには100gでも軽いことは正義です。もちろんOggVorbis形式対応が購入の理由です。閉じた世界のデータしか扱えないネットワークウォークマンのソフトでバックアップデータ復元の認証不具合により何ヶ月もかけてエンコードしたATRAC3データを失った身からすると一生SONYのデジタルオーディオは買わないつもり(それまでは結構ソニーファンだった)ですし、iPOD miniは可愛いけれどOggVorbisの再生ができないんじゃあ話になりません。
新下関駅で降り精算して在来線に乗換、さらに1両編成の山陰本線に乗換えます。乗換時に買ったふく寿司を鞄に突っ込むと水のペットボトルが入らず鞄のポケットに移動します。
こっとい
山陰本線小串行は意外に乗客が座っています。おしゃれなおばさんがわざわざ詰めてくれたのでロングシートに座ります。
特牛まではあと一回の乗換を残すのみとなりました。SL-C760をとりだしてぷちぷち。広辞苑第五版でこっといを引くと、
こっとい【特牛】コツトヒ
コトイの転。
とあります。
小学館発行各駅停車の旅「南へ」改訂第3版によると、
特牛 [山陰本線]
こっとい
特牛は、中国地方の方言で牡牛を意味する「コトイ」「コテ」を連想させる。このあたりは、古代のころから牛の飼育がさかんであったという。また駅の西にある港が琴江と呼
ばれる入江にあったことから、両方あわせてこの地名がつくられたといわれている。この駅の標高は54.3メートルである。
と説明されていました。
今日の目的地角島に一番近い駅になります。
小串で乗換、長門市行ワンマンカーは扇風機が元気良く回り、日焼け止の匂いが広がります。乗客には地元パワーが溢れています。
こっといで下車。無人駅。
BD-1を組み立てて出発です。
角島大橋
アップダウンの道を激しい向かい風に逆らって走ります。やがて見える角島大橋、その海、海の色!
写真ではとても伝えられない玄妙な海の色、来て良かった、最高!
強い横風の中、角島大橋を走り出します。両側の澄んだ海は複雑に変化します。すごいすごい。こんな景色が日本にあるんだ。非対称にアップダウンのある橋を進みます。目線が遮られない快感、考えられないような海の色、不思議の角島大橋は今日の目的地、裏切られない体験です。
角島
角島まで渡り、海岸線に沿って走り出します。左を振り返ると角島大橋が眺められます。海沿いの道は途中で工事による通行止めとなり、仕方なく島中央の道へと急な坂を右に左に登り上げます。きついな。広い道に合流して左へ進むと砂浜が見えてきます。コバルトブルーの美しい海岸です。日本にこんな海があるなんて。さらに先に進み大浜海岸まで行きます。キャンプ場併設で、駐車場は車で一杯です。ふむ。少しとって返して、人気のない場所に座って海を眺めながら昼飯にします。ふくすしです。うまい。こんな豪華な駅弁が8百円ちょっとで買えるなんて。
満足したら出発です。まっすぐ角島大橋まで戻り、もう一度逆方向に橋を渡ります。左側を見下ろすと、本当に水は澄んでいます。
向津具半島
道を東にとります。国道191号へ合流しようと進むと右も左も緑の夏です。夏の太陽、夏の空、夏の風、夏の匂い。阿川の標識を横目に向津具半島を目指して走ります。後で阿川がOJFさんの原産地と知りました。こんなところに住んでいたら、東京生まれの東京育ちの「海」の概念とは根本的に違う理解になるだろうと思います。
泳ぐのに良さそうな海岸などもありますけれど、そのまま先へ進みます。楊貴妃の里の看板を見てから左に曲がり、向津具半島の方へ進みます。強烈な向かい風。アップダウンもありしんどいです。海は雲の出てきた空の色を映して表情を変えています。ひええ、この向かい風はきついかも。途中水飲み休憩をとり、どうやら日本海が見える所まで北上しました。GPSの地図をズームしてコースを考えます。右手を仰ぎ見ると高い丘がそびえ、風力発電の巨大な風車が回っています。この半島は角島どころじゃなくきつい。大回りするのはやめて、最小半径で回ろう。そう決めて走り出す道も、きびしい角度の上り坂です。
立石観音
向津具半島の根元から立石観音、龍宮の潮吹を回って走った道こそが、最高に素晴らしい景色と、くじけそうなくらい厳しい坂道の連続でした。折畳自転車で走るにはつらすぎるアップダウンなのに、青々とたなびき、日の光に輝く棚田が続き、青い稲の波の棚田の向こうにさえぎるものなく広がる海!夏の直射日光を浴びながらペダルを回し、目と肌で御馳走を堪能します。
最高の景色を全身で楽しみながら、きびしいアップダウンをこなしていきます。長門の海岸線らしく、立石観音の黒々と直立する巨大な岩は迫力です。
龍宮の潮吹
海は凪いで潮吹きは見られませんでしたけれど津黄の海蝕地形の断崖の上に立つと横風に煽られて落ちそうになります。
龍宮の潮吹から、戻るには延々下りて来てしまった急坂を延々登り返さねばならないと気付き、心が萎えます。さすがにつらすぎな気がします。水分を十分補給し津黄港から出発します。進行方向には巨大風車を頂く高い丘が見えます。なるべく棚田と背後の海を見ながら、ギアをローに落として登ります。きつい。やがてたまらず自転車を降りると、右脚の膝の外側が攣ります。伸ばそうとすると攣るので、しばらくして結局休憩をあきらめ続きを登ることにします。降りて休むのはまずそうなので、ときどきガードレールに足を付いて水を飲むようにします。登り道でこんなに休み休み走らなければ進めないのは久しぶりかも。
一時翳っていた陽射しも強烈に照りつけています。どうにかこうにか峠を越えます。下り。田んぼのある平地に向かって下りる下りる。やっぱこんなに上ってたんじゃないか。下った先でもう少し南下して国道に出ます。ようやく平坦な道路ですけれど、もうどうにもヘロヘロで、時速15mくらいで進みます。これじゃ全然距離をかせげません。少しの上り調子でも辛くて失速してしまいます。
「みんなべつべつで みんないい」
国道を走るうち、徐々に速度も戻って来ました。子供達が海水浴を楽しむ砂浜など左手に見ながら走ります。長門市は近いです。腕時計を見ると予定していた仙崎発16時の列車はとうに行ってしまっています。青海島遊覧船も最終便が戻ってきた後です。地図上の距離はごく短く感じたのですけれど、強い向かい風と厳しいアップダウンに悩まされているうちに時は過ぎてしまったようです。
長門市から北上し、金子みすゞの故郷仙崎へ行きます。仙崎駅には大きな金子みすゞの看板がありました。駅からまっすぐ伸びる道がみすゞ通りと名付けられていました。渡しの波止場まで走り、ゆっくり戻ってみます。店々の軒下には金子みすゞの詩がかけられています。角の乾物屋、本屋、郵便局、時計屋など。金子みすゞ記念館は5時で閉まっていました、残念。青海島遊覧船と合わせ、今度ゆっくり来るのもいいかもしれません。
美弥線
仙崎駅まで戻ります。美弥線はトイレがないとの注意書きが貼ってあります。御手洗で用を足し、頭から水をかぶります。水分補給を怠ると熱射病と脱水症状で倒れかねない日差しでした。BD-1を折り畳みます。顔や腕、頭が日焼けしているようで、熱を持っています。美弥線に乗ると、長門市以降で高校生がたくさん乗って来て車両が埋まります。自転車の置き場所確保のため一番前の席に陣どっているので、単線の線路を辿る美弥線を堪能できました。
SL-C760で輪行記をぷちぷち。GPSの記録を見て、なんで今日はこんなにきつかったのか得心がいきました。
今日のルート
ハンディGPS「etrex VISTA 日本語版」のトラックデータ(trk40717.trk trk40717.zip 2,256bytes)をカシミール3Dで表示し、注記したものです。この日は、軌跡保存のし忘れで夕方の一部のログしか残っていませんでした。
まあ、イラストマップのようなものなので、正確な道や細部は、別途正確な地図をご参照ください。
距離は72.6km、移動平均速度は16.7km/h、移動時間4h20m、停止時間1h16m、全体平均速度12.9km/h、最高速度50.6km/h、総上昇量1213mでした。
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文市(あやち)=青野宣昭