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暗峠 大阪側

輪行写真


近鉄奈良線

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近鉄難波から近鉄奈良線の枚岡駅まで輪行。
今日はあの暗峠を大阪側から登るのにチャレンジ!です。
以前、奈良側からは登ったことがあります。そのときも、下りの大阪側の坂がえらい急で、下りの途中なのに一度休憩を入れたほどでした。
後で知ったことですが、この暗峠大阪側の坂道は急坂で有名な場所だったようです。
枚岡駅改札を出てから線路をくぐり、反対側の枚岡神社前まで石段を数段上り、BD-1Cを組み立てます。そのまま線路に沿って左へ進み、暗峠入り口に行きます。タイヤの空気圧を調整し、少し柔軟をします。


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道路標識では、国道なのに通行禁止で迂回路表示があります。それなのに、噂を聞きつけた物好きな運転者が自動車で入っていきます。地元なら仕方ないけれど・・・。


スタート

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さて、挑戦です。
ええと、いきなり路地にしか見えない細い道です。しかもとても急です。岩園隧道東側側道の前半戦、という感じでしょうか。仁川の急坂というか、諏訪山の登りというか。
いきなり1速に落として登ります。いきなり時速5kmまで落として、というか落ちてしまっています。
後ろから車が来ました。やむを得ず下車して脇によけます。そうしないとすれちがえないのです。足を付かずに、という走り始めにチラと考えた野望はどこへやら、追い越させを理由に下車したとたんでゼエゼエ息をして休憩モードです。息を整えてから再度走り出します。又車です。下車して脇に避けます。すぐに走り始めますが、苦しいです。いやホント苦しい。
車が来るたびに避けて休憩しながら登ります。


急坂

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赤い橋まで登りました。ここは奈良側から登ってこちらに下りてきたとき、下りが急すぎて疲れて休憩をとった場所です。
橋に乗り入れて水を飲みます。
写真を撮ってみると、坂が心底急なのが分かります。
呼吸を整えたら出発です。
ところが、走り出せません。
坂が急すぎてウイリーしてしまうのです。
岩園隧道東側側道で言うと、中盤から終盤に向けて坂の斜度が増す辺りの感触です。サドルに腰を下ろすとウイリーしてしまうので、ダンシングするしかないのですが、路面に斜めに溝が掘ってあるため、そこを超えられず前輪が浮いて車体のコントロールを失ってしまいます。二度目に走り始めようとしたときは車体ごと倒れてしまいました。
再度呼吸を整え、一気に直登しはじめると、走り始められました。よしよし、と登っていくと、また後ろから車です。これには泣きそうになりました。ようやく走り始めたのに・・・。


休憩

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車を避けて、また出発です。少し登って、休める所を見つけて本格的に休憩することにします。
というのも、二の腕と胸の筋肉が痙攣してしまって、車体をコントロールできなくなってきたからです。
ペットボトルをホールドできないほど腕と上半身が疲れています。なんとか水を飲んで座り込みます。脚ではなく、腕と心肺機能がギブアップです。
jornada568を取り出してプチプチ。延々30分ほど休み、それから再度挑戦です。

休んだ甲斐あってか、ぐんぐん登れます。ギアを二速にシフトアップしても脚の負担は感じません。スピードが出れば車体も安定して良いことづくめ・・・かと思いきや、心肺が付いていきません。1速に落として呼吸を整えようとしても、力を抜いて走ることを許さないさらなる急坂が襲いかかります。
道路に定期的に掘ってある斜めの溝をBD-1の小さなタイヤでやりすごすためには、直角に入り、しかもハンドルを上から押さえつけるようにしないと前輪が浮いてしまいます。
今まで、急な登りでは、ハンドルを引きつけるようにして登ってきたので、勝手が違って腕が疲れます。
坂がある角度を超えると、サドルに体重を預けていると前輪が上がってしまうので、坂を見ながら急になるとダンシングをして体重を前輪にも乗せるように気をつけます。
ちょっと坂がゆるめになったかなと思い、前方を見ると、すぐにもっと急な坂が待ちかまえています。GPSを見ると、まだ峠まで半分あります。思わず下車して座り込んでしまいます。
ぜえぜえぜえぜえぜえぜえぜえぜえ。心肺が追いつきません。降りた自転車を腕がささえていられず、ずるずると後退します。二の腕が、胸筋が、肩が、ひくひくとふるえて制御を失います。


絶望

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また車が来ます。なんとか道の端に寄せます。
上から降りてきた夫婦が、BD-1を物珍しそうに眺めます。
「自転車で登るのはえらいだろう。へえ。」
「まだまだ急な坂はこれからよ」
が〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!聞きたくなかったその一言。
とにかく、呼吸だけは整えてから、腕を軽く降ってまた乗車します。とにかく進まなければ終わらない。なにしろ自転車に乗っている時間より降りて休憩している時間の方がずっと長いのです。これ以上長時間の休憩をとっても、身体は回復しないでしょう。
登っては呼吸を整え、腕がハンドルをコントロールできずに自転車ごと転倒しそうになるたびに降りて腕を休めます。


ますます急に

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・・・そして、坂は、ますます急になっていきます。岩園隧道東側側道の終盤という感じでしょうか。
とにかく車体をコントロールすることが大事です。急坂だからといって、道幅一杯に使ってジグザグ走行して坂を緩やかにする、などという技は使えません。なぜなら、山側のペダルが下に当たってしまうからです。(本当)


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自転車をこぐとき、踏むのではなくくるくる回すのだ、と言われることがあります。その方が効率的なペダリングだと。
暗峠の大阪側を登るとき、そんなのは机上の空論だと分かってしまいました。ギアを一番ローにしていても、一足一足踏み込まなくては前に進まず自転車が倒れてしまうのです。くるくる回すだなんてとんでもない。よっぽど、異常なまでにヒルクライム用の軽いギア構成にでもしなければ、そんなことぼくにはできません。というか、そんなギア構成にしても、低速で移動している限り、路面の溝にはまって倒れてしまうと思います。やっぱり机上の空論だ。麦草峠のようななだらかな坂道がずっと続く所なら良いのでしょうけれど。


見たくない九十九折

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これまで、ほとんど直線に近かった国道308号線は、右に左にカーブするようになりました。すると、坂道の角度が常軌を逸したものであることが嫌も応もなく分かってしまいます。斜度が何度とか、そういう問題ではありません。
でも、この急坂に見える切り返しは、楽に登れました。その後の直線の方がキツいです。つまり、きっと、直線だと分からないけれど、もっときつい角度なんだとしか思えません。


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この頃になると、20mか30m登って、坂道発進が出来そうな場所を見つけたら停止して呼吸を整える、という感じになってきます。
でも、徐々に山の景色は変わり、頭上にのしかかっていた山がなくなり、峠に近づいているらしいことが本能的に感じ取れます。


少しゆるやかな急坂に

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そうして、もう休憩も20回目くらいでしょうか。お寺の看板がある場所に出ました。
ここから、さらに急坂が見えます。も、もういやだ・・・。


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それでも、峠は近いと信じることにして、ダンシングを数十こぎ重ねて進みます。
ふっ、と。楽になりました。坂道が、少しゆるやかになったのです。
ここから峠までは、仁川や六甲山の急坂程度の斜度の坂道です。いや、もちろんそれもとっても厳しい坂道なのですけれど、身体が知っている角度です。いつも六甲山を登るときのように、シッティングでしずしずと登っていけます。自分の心肺機能の範囲内です。あ、いける、これならいける。


幅3mの国道

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そうして、暗峠の民家が見えてきました。ああ、石畳の峠までは、あと少しです。
国道308号は、道幅3m程度に狭まっていて、対向車が来ると、自転車でも擦れ違えなくなります。やむなく、戻って広くなった場所で脇に避けます。対向車をやりすごしてからは楽しく登ります。けっこう急坂も少しあったのですが、もう心は峠です。後ろから車が来ましたが、そのまま直進し、石畳まで乗り付けます。


暗峠石畳

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やった、暗峠大阪側から登りきったぞ!


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記念写真を撮っていると、ハイカーのおじさんが、
「自転車と一緒に撮って上げるよ、記念になるだろう」と言ってくれました。好意に甘えます。
しばらくお話していると、おじさんの連れが追いついてきたようで、お礼を言って別れます。
さて、ここからは奈良側に下るだけです。目指すはビラージュ川端!


奈良への下り

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奈良側は路面の状態が良いので、下るのは楽です。途中、広く整備された道もあり、眼下に奈良の町並がひらけます。
最高!
奈良側も、実はなかなかの急坂です。路面状態がマシなだけかもしれません。道の広さが大阪側よりマシなので、走りやすいです。
一気に下りきってしまい、右折してビラージュ川端を探します。


ビラージュ川端

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しばらく走っていると、ビラージュ川端を発見。あー、こんなところだったんだー。気づかなかった・・・。
優吾さんサンクス!です。
とりあえず、ハウスティー380円ととケーキと頼むと、ケーキはショーケースから選ぶようです。
ショーケースをじっくりのぞき込み、おねえさんにを頼みます。
「和栗モンブラン・・・」
「はい、かしこまり・・・」
「・・・と、ウィーンの森」
「はい、かしこまりまし・・・」
「と、ビラージュ、を、お願いします」
「はい、かしこまりました」


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これがテーブルの上に並ぶと、おおっきい!。ボリュームたっぷりです。
まずは店名のビラージュ。サクサクのパイ。中のクリームには季節の果物が。これがヒット。ぼくはこの手のサクサクパイやミルフィーユよりもタルトの方が好きだと思っていたのですけれど、ビラージュは飽きのこない味です。ミニミニバニラアイスが付いていて、これ一つ頼めば満足できそうです。
続いて和栗モンブラン。『秋桜の空に for LX』記念です。
これは超巨大なシュー皮の中身が丸々モンブランという代物です。栗っぽくて良い感じです。シュー皮なのでちょっと食べにくい。というか、先ほどのビラージュがサクサクパイにしてはとても食べやすかったので、比較してしまいました。
続いて、ウィーンの森です。これもそつのない出来です。これもボリュームがあり、さすがにお腹いっぱいです。


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ゆっくり休んで外に出ると、駐車場の向こうにもビラージュ川端の小さな建物が
あります。こちらはジェラート専門店のようです。
しばし迷って、やっぱりジェラートも頂くことにしました。自転車を停め、中に入って牛乳ジェラートを頼みます。


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外に雰囲気の良いベンチがあったので、そこでジェラートを食べます。
駐車場で水まきをしていたおじさんがやってきました。ケーキ屋を出た時に、「ごちそうさま、おいしかったです」と挨拶した上に、ジェラートまで食べていたからでしょう。
ケーキ三つ食べたらお腹一杯になってしまって迷ったという話をしたら驚かれました。
そういえば、あの大きさのケーキを一人で三つ食べる客は少数派かもしれません。
ジェラートがあっさりしているという話をしているうち、
どうやらおじさんはここのオーナーさんのようです。ハーゲンダッツなどは乳脂肪分16%あるところを、この牛乳ジェラートは3.5%だから、とてもあっさりしているとのことです。
素材へのこだわりを、ご自分できちがいだ、宗教だと言います。
洋梨は三カ所から仕入れているそうですが、昨日でなくなってしまい、熟していないので今日はないそうです。りんごも、仕入先が限定されており、卵も鶏の餌から違うもので、牛乳も決まった農場のもので、赤字だと笑っています。
有機の果物で、仕入先が限定されているので、イチゴも二カ所だけで今だと輸入物になってしまうので出していないそうです。
桃ももちろん仕入先が決まっているので、たとえば黄金桃という美味しい桃があるけれど、一昨年はお盆の頃入荷、去年は20日頃、今年は遅れて30日頃に入ったと思ったらもう終わりになってしまって、息子がやっているインターネットホームページでいつ出ていつまであるのか聞かれても答えようがないそうです。
自然が相手なので仕方ないのでしょう。たとえばイチゴも二カ所から仕入れていて、もちろん両方とも無農薬有機栽培なのだけれども、片方のイチゴはとにかくすごく美味しいけれど、数が少なく、イチゴを使ったケーキでも、そのとき食べたお客さんはとても美味しいと思っても、次に来たとき同じ味とは限らないとのこと。
仕入れ先の農家の方も、こだわって作っている分、どんな使われ方をされているか気になるようで、先日も桃を作っている方が見に来たとのこと。そういった人と人とのつながりが楽しいとのことでした。長年管理職をやっていて、細かい数字を見るのは嫌になったと笑っていました。お菓子を作るのが好きなのに、そんなことが出来なかったようです。
小麦はアメリカからオーガニックのものを仕入れており、アメリカでは周囲80mまで無農薬になっているとのこと。
水は金魚と鯛が一緒に住めるような遠赤外線を通した水で、実際試してまろやかになったので使っているとのことです。


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ケーキ屋を出るときに気になった「残心」の額についても話してもらえました。
この書の方がおもしろい人で、どんなお金積まれても気に入らないと書かない、気に入ると、「お金?いらん」と言うような人だそうです。
「残心」は余韻のことだと言われます。ぼくは残心というのは剣道で一本確実に入れて勝ったと思った後もきちっと構え、気を抜かずに勝負を捨てずにだめを押すようなイメージなのですが、ビラージュ川端のオーナーさんは、余韻という意味にとらえているようです。
ケーキを食べた後の余韻を大切にしたい。
だから、ケーキは100%でなく80%で、あとの20%は余韻なんだと言います。
「残心」の書の方の書を他にも見せてもらいました。
「花には水を 人には心を」
水という時がまさに水のようでした。
目の前で、さらさらと書かれるそうです。
そんなこんなで話をしていて、すっかり夕方になってしまいました。
今日は、このまま萩の台から輪行して帰ることにしました。


今日のルート

ハンディGPS「etrex VISTA 日本語版」のトラックデータ(trk1012.trk trk21012.zip 4,309bytes)をカシミール3Dで表示し、注記したものです。
まあ、イラストマップのようなものなので、正確な道や細部は、別途正確な地図をご参照ください。
距離は6.91km、移動平均速度は10.6km/h、移動時間0h39m、停止時間1h11m、最高速度41.4km/h、全体平均速度3.8km/hでした。
輪行写真


文市の小箱茶室ケーキ小箱LX紅茶読書[自転車]-[輪行39]/ 好み他伝言板リンク

文市(あやち)=青野宣昭