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備前-備中高梁

輪行写真


冬の青春18きっぷ

目覚ましが5時過ぎに鳴り、着替えて出発です。甲子園口の改札で駅員に声をかけ、冬の18きっぷに日付印をもらいます。
えきちょーのアドバイスで、今週は岡山方面です。今までは中途半端に近くて遠く、そういえば吉備路くらいしか走っていませんでした。
べあさんの書き込みで、今週は忠臣蔵番組視聴者による赤穂目当ての18きっぷ利用赤穂線混雑が予想され、うまくはずさないといけないと思いました。ただでさえ姫路-岡山間はダイヤの隘路です。
最初の目的地閑谷学校へは山陽本線から入り、自転車で南へ抜けて忠臣蔵観光軍団が降りた後の赤穂線で細かく輪行、牛窓を走る線で計画を立てています。
夜は明けていません。西宮で乗り換えて、姫路までは座って睡眠をとります。


輪行に最適な自転車は

輪行写真
姫路で岡山行に乗り換え。座れました。トレンクルだと取り回しが良いので助かります。BD-1だと自転車を置いている間に席がうまってしまい相生辺りで空席が近くに出来れば座れる感じになります。
輪行にはいつもトレンクルの方が良いかと言うと、もちろんそうではなく、牛窓のアップダウンや、吉永から牛窓、邑久、さらに岡山とダイヤが合わず全行程自走するとなるとトレンクルではつらい距離です。BD-1なら快適に走れる距離なのですけれど。
昨夜はBD-1のつもりで準備し、今朝急遽トレンクルに変更したのは、予定より1本早く出発できそうなので、山陽本線から赤穂線へ丘ひとつ越えての輪行はしごがうまく時刻表で成立すると踏んだからです。


閑谷学校

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吉永駅で降ります。駅の売店には弁当らしきものはありません。駅前の店は本屋でした。
トレンクル展開。ヤマザキパンの幟まで行ってみたものの閉まっています。ぐるっと線路を越えると、ローソン発見。これ幸いと朝食用おにぎりを買い込みます。
ここから閑谷学校手前のトンネルまで上りです。BD-1Cなら上りのうちにはいらないなだらかな坂ですけれど、トレンクルだとどうしてもケイデンスが落ちてしまいます。
閑谷学校到着。9時の開門まで石塀の周りをトレンクルで見物します。石塀は全く崩れていません。さまざまな形の石を組み合わせてきれいな丸い塀にしています。


輪行写真
9時を回ったので300円払って中に入ります。孔子を祀った閑谷神社があります。
閑谷学校の開校を指示した池田光政は8歳だか9歳だかで藩主になり、藩政の不安で眠れぬ気持ちだったのが儒学に出会って得心したようです。日本最初の庶民学校「閑谷学校」は孔子かぶれの藩主によるものなのでしょうか。
神社と聖廟を背にして校庭に降りると、朝露が霧となって立ちのぼります。美しい霧に囲まれて右手をみると講堂が静かに折り目正しく建っています。背の高い屋根は備前焼の美しい瓦で葺かれています。


輪行写真
静かに歩いて行くと、講堂に上がれるようです。靴を脱いで廊下に立ちます。床は輝き、学びの場は今でも直ちに使えそうな程です。学校だ。お寺が学校だった時のような。
ぐるり廊下を一回り講堂を見学します。どこからみても講堂の床は黒くしっかりと平らで、外からの光を映してしんとたたずんでいます。
来て良かった。
靴を履いて、火除山の向こうにある資料館へ向かいます。おじさんに挨拶して資料館を順路に沿って見ます。
備前焼は堅くて丈夫だが、のぼり釜で焼く時の温度が高いため変形しやすく、瓦にしたときに水が漏れやすいので、閑谷学校の屋根は三重に重ねた構造にしたり水捌け用のパイプが通っていることなど、解説を読みました。
閑谷学校建築のためにのぼり窯が閑谷に作られたそうです。
門を出てから甘酒屋の前のベンチでおにぎりを二つ手早くほお張ります。ここからは下り、赤穂線は1時間に1本ですけれど、きっと間に合うはずです。


伊里

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閑谷学校を後にして、トレンクルをかっ飛ばします。岡山の山は丸いです。下りると平地、川沿いに進みます。
やがて赤穂線らしき線路を発見、駅を探すと小さな伊里駅がありました。
単線の横に一つのホーム。時間が近づき、地元のおばさんと女学生がホームに入ります。
ホームの前は真っすぐな線路は日生の方へと目を向けるとくねっと曲がっていて、良い感じです。
ここから数駅輪行し、邑久駅で再び下車します。青春18きっぷは便利です。
トレンクルを組み立てて再度走りだします。目指すは「日本のエーゲ海」と呼ばれる牛窓です。


邑久

と、その前に、竹久夢二の生家です。少年山荘が建っています。世田谷松原の少年山荘を復元したものだそうです。先に夢二の生家へと、公園の中を押して通って行きます。
小さな平家の家は、なにか懐かしい感じです。夢二の部屋は4畳半を斜めに切り取ったような小さな部屋で、居心地の良さに思わず荷物を置いて座り込んでしまいました。
夢二が同棲していた女性の写真は、夢二の絵によく似ていました。好きだったんだろうな。
帰り際に竹久夢二マウスパッドを一枚買いました。
ここから牛窓までどんどん走ります。なんだか前方に丘が見えているのが気になります。やっぱりあれを越えるんだろうなあ。
広大な塩田跡を横に眺めながら走ります。すごいなあ、これだけ広ければ塩も取れるのかなあ。ガンジーの話を思い出しながらトレンクルを走らせて行きます。左手の塩田跡の広大な眺め、そして右手に迫った丘。分岐の案内板で右が牛窓ペンションとオリーブの丘となっています。GPSを確認すると、やはり右です。
仕方なくハンドルを右に切ります。かなりいい感じにきつい登り坂です。くわ。ダンシングで登ります。止まらぬように腰を降ろさずがんばります。ぬ、ぬ。最初の急坂を直登すると、道は右に左に大きく折れながら山肌を上ります。ややゆるやかに感じるのでシッティングでそのまま進みます。
これで終わりかと思うと、さらにきつい直線の登りが現れます。たまらず足をつきます。ちと休憩、自転車を降り呼吸を整えます。トレンクルではちとつらい。腕が、馬鹿になっていくのが分かります。きつい登りで最初に動かなくなるのは腿でも膝でもなく、上半身です。


牛窓

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その後も1、2度休憩を挟みながら登り切ると、峠の向こうに牛窓の海と島と白いペンションが一気に現れました。すごい、エーゲ海みたいというのも分からないでもない。
牛窓の海に向かって下りる前に、右折してさらに上のオリーブ園の方を目指します。少し登ると、お目当てのジェラートのお店です。


コピオ

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ダブルコーンを注文、少し悩んで、「オリーブ」と「牛窓の風」のダブルに決めます。
小さなスプーン代わりのコーンを二本、牛の角の様にさして渡してくれました。
外のベンチでオリーブの木々と牛窓の海を眺めながらジェラートをいただきます。
登坂で熱い体を内側から冷やしてやると、汗が引いて落ち着いてきました。
食べ終わって、出発です。ここまでの登りを一気に吐き出して直滑降で滑り降ります。最高!むっちゃ急な下り坂です。この道は戻れないな、と頭の隅をチラリとよぎります。


しおまち唐琴通り

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下り切って左折、牛窓千軒、昔ながらの町並を見に行きます。
音戸の古い町並にとても良く似ています。牛窓の方が長いです。
地震があったのか、おばあちゃんが一人家からとびだしてきて「今さっきドーンと音がしてびっくりしてこたつから飛び出したけど、その後揺れがが来ないね」と話しかけられます。
「テロかと思ったよ、今のご時世」と言いながら家に戻っていきました。
少し進んで写真を撮っていると、また別のおばあちゃんに話しかけられます。土地柄なのでしょうか。


牛窓海水浴場

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トレンクルでお散歩するうちに、牛窓海水浴場にたどり着きました。水が綺麗!白い砂浜に透き通る水、そしてすぐに碧くなっていく、美しい浜辺です。うわあ。なんてすごいところだろう。日本にもこんな海岸があるんじゃないか。
牛窓神社から先は、瀬戸内国立公園になっているようです。確かに、海岸線を見ても開発の痕は見えません。
牛窓に来て見て良かった、こんな良い所だとは思いもしませんでした。


ニコニコ食堂

輪行写真
そぞろトレンクルで戻り、「ニコニコ食堂」の暖簾をくぐります。


輪行写真
あなご丼を頼みます。ごはんの上だけでなく中にもあなごが隠れていました。うまい。
満足してニコニコ食堂を出ます。本蓮寺にお参りします。境内から牛窓の海岸を見下ろせます。日蓮宗のようです。


青空

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少し町の大通りを進むと、とても素敵な青い色の暖簾が目に入ります。LIFE ARTと書いてありますが、喫茶もやっているみたいです。入って見ることにしました。
コーヒーを頼み、店の中に沢山置かれている焼き物、アクセサリ、服やバッグや自然食品を順番に物色して行きます。面白い。
この店の中だけ中央線、日本のインド高円寺のようです。自然素材の服を着た店の女性に自転車を見られたようで、車に積んで来たのか訊ねられます。折り畳んで電車に乗るから楽だと言うと、坂道は大変でしょうと言われます。オリーブの丘に登ったらヘトヘトになりましたと笑うと驚かれました。
あんな坂でなくてもえらいと言います。ここはしんどいことを「えらい」という言葉を使うんだな。
牛皮のバッグに心ひかれましたけれど、荷物を増やすわけにはいかないので、コーヒー代だけ払って外に出ます。
外に出て走りだすと、雨粒が顔に当たりました。ありゃ。チームPAOPAOのサイクルキャップをつばを前にしてかぶり、気にせず走ります。青空と雲がまだらに空を覆っています。まあ、大丈夫、どうせすぐ止むだろう。
なんたって、ここは晴れの国岡山だから!
雨雲は北の方に流れ、雨はたいして降らないうちに止みました。


岡山

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オリーブの丘を越えるのは勘弁なので、西へ西へと走ります。このままずっと進めば岡山市街まで抜けられるはず。
多少上り坂もあります。今日はトレンクルで上る日なんだと思って、気にせず進みます。岡山駅まで走るのはトレンクルではちょっと距離がある感じです。
30kmくらいの距離までなら良いのですけれど、もっと長い距離だとトレンクルの居住性はあまり良くなく感じて来て、BD-1に乗っているときよりずっと疲れてしまいます。
岡山城の手前でえらい上り坂です。路肩も狭く、走りづらいですけれど、頑張って上り切りました。
岡山市街に突入すると、路面電車が走っています。そんなのあったんだ。路面電車に沿ってずっと進みました。どうやら、一本中に入った通りが商店街のようなので、岡山城前から折り返してアーケードを進みます。飯にしよう。
自転車を降りて歩くと、あまり飲食店はありません。寿司屋を見つけましたけれど、高いかもしれないのでスルーします。
アーケードの外れまで来てしまったので右折してまた歩きます。アーケードを出ると、飲み屋やサウナのある区域を抜けて、岡山駅前まで出てしまいました。
トレンクルは折り畳み、駅前の地下街ででカキフライ定食を食べます。やっぱり備前に来たならカキフライ。バラ寿司やぬく寿司よりこっちの方が良い気分でした。おいし。
地下街で喫茶店を探すうちに百貨店に入り、エスカレーターで上がって喫茶店を見つけます。ふとかわいいネクタイがあったので買ってからガラガラの喫茶店に入り、ワッフルと紅茶で落ち着きます。SL-C760を取り出してパチパチ。
汗で服が濡れていて、体温を奪っていきます。百貨店を出ると駅近くのカプセルに宿をとり、風呂に入って温もります。


備中高梁

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翌朝6時過に宿を出て駅へ向かうと、まだ空は月明かりだけの真夜中です。おにぎりを買って伯備線に乗り込みます。出発とともに、東の空が赤く白んできます。
倉敷からは山陽本線と分かれて高梁川に沿って進みます。総社を出て線路が北へ向かうと、田は霜で真っ白で、山は霞んでいます。
備中高梁駅で降りると、寒い!自転車を組み立てて走りだすと、耳が凍ってポロリと落ちそうです。
紺屋町筋辺りまで来るとなんだか良い感じの町並になります。石火矢町辺りは城下町の雰囲気が残っています。
ここから登りです。とちゅうからあまりに急で、トレンクルを降りて押します。トレンクルで普通に走れるのは斜度10%とかの坂道で、こんなに急だと押すしかなさそうです。
城見橋公園を過ぎるとゆるやかになり、ふいご峠まで走ったり押したりで進みます。ふいご峠にトレンクルを停め、ここから山道を登城します。ハイキング気分で一汗かくと備中松山城の大手門です。


備中松山城

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岩盤崩落の恐れがあるとのことで、センサー(差動トランス型岩盤伸縮計とクラック変位変位計)とデータロガーによる監視システムがせ設置されていました。


天守閣

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松山城は臥牛山にある実戦城で、天守が現存する山城としては日本で一番高い場所に建つ城です。
臥牛山一円に籠もる三村氏を毛利8万が攻め落とした備中戦乱でも最後まで残ったのが松山城でした。
天守閣に上がり、DVDを見ます。寒い。とても小さな天守閣です。天守の中に囲炉裏があるのは驚きましたが、寒いから必要でしょう。


雲海

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見下ろすと、高梁の町は雲海の下に沈んでいます。


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お茶を頂き、ビデオを見ます。頼久寺は小堀遠州が住んでいたとのことです。備中松山の城下町は小堀遠州により作られたそうです。
城を下りて頼久寺に行くことにします。


頼久寺

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頼久寺の庭園は桃山時代末期に小堀遠州によって作庭されたものです。枯山水にサツキの大刈り込みで青海波と鶴島、亀島が配置されています。
頼久寺を出て、自転車で高梁の街を流します。紺屋川沿いなどを回って、松連寺まで行きます。松連寺は寺というより出城で、石垣がそびえています。
駅前に戻って昼食にします。食堂に入ると、高梁だけでなく、成羽町を勧められます。吹屋ふるさと村に行くと良いそうです。
吹屋の統一された家並みが何kmも続いているのや、三十室もあるような横溝正史の作品の舞台広兼邸があるそうです。自動車なら行けるそうですけれど、自転車では無理だそうです。
ちゃんぽんを食べ終え、手早く折り畳んで輪行、播州赤穂行に乗って網棚にトレンクルを乗せると爆睡です。


今日のルート

ハンディGPS「etrex VISTA 日本語版」のトラックデータ(trk31214.trk trk31214.zip 19,456bytes)をカシミール3Dで表示し、注記したものです。
まあ、イラストマップのようなものなので、正確な道や細部は、別途正確な地図をご参照ください。
距離は86.6km、移動平均速度は15.6km/h、移動時間5h32m、停止時間3h43m、全体平均速度9.4km/h、総上昇量1268mでした。
輪行写真

輪行写真

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文市の小箱茶室ケーキ小箱LX紅茶読書[自転車]-[輪行73]/ 好み他伝言板リンク

文市(あやち)=青野宣昭