紅茶は煎茶と異なり、沸騰した熱湯を使って淹れると、その成分・香味を抽出できておいしく淹れられます。
でも、ただ熱湯を使うだけではまだ温度が低すぎるのです。
紅茶を淹れる際、茶葉がジャンピングするのには98度以上、本来の成分・香味が出るように紅茶液を浸出するのにはできるだけ高温で蒸らすようにと言われます。
これは、高温でないと、カフェインやタンニン、その他の水溶性物質の浸出が早く行われないからです。
長い時間をかけて浸出すると、たとえば約30分でカフェインの98%、タンニンの64%が湯中に溶け出ますが、紅茶特有の花のような揮発性の香気成分は、とうに蒸発してしまいます。
実験では、沸騰したお湯に5分間浸されだけで、カフェインの82%、タンニンの38%が抽出されたそうです。
このように、できるだけ高温・短時間で抽出するのが、紅茶の本来の香味を活かす淹れ方だと言われています。
なお、これでも分かるように、カフェインは極めて早い段階で抽出され、最初の5分間以後に溶液に溶け出てくるのはほとんどタンニンと色素物質であると言われています。
やかんでグラグラと沸騰している熱湯の温度は、もちろん100度です。
けれども、これをポット(急須)に入れると、実はそれだけで温度は下がってしまいます。
室温20度、紅茶カップ2杯半入るポットに7.5グラムの茶葉を入れ、ポットは事前に温めずに常温のままで、沸騰中の熱湯を注いでみました。
ポットに入れただけで9度低下
ポットに入れただけで91度まで低下してしまっています。
これが、3分後にはどうなるでしょうか。
3分後は87度
さらに、5分後にはどうなるでしょうか。
5分後は84度
ポットを、沸騰したお湯であらかじめ温めておくとどうでしょうか。
94度
これが、3分後にはどうなるでしょうか。
3分後でも90度
なんとか90度を保っています。
高温で蒸らすのはかなり温度に気をつかわなければいけないことがわかります。
「やかんをポットのところに持っていくのではなく、ポットをやかんのそばに持っていく」などと言われるのもこれで納得がいきますね。