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OASYS Pocket3

言葉をどこでも紡ぎだすために生まれた最強の文章作成機


親指シフトキーボードは快感です

ローマ字かな変換入力に慣れた身からすると、特殊なキーボードや独自の規格は欠点に見えるかもしれません。が、実際にNICOLAキーボードで言葉を綴ってみるとその違いはあまりにも明白です。
それはコンピュータで日本語を扱おうとしたときからの技術者の試行錯誤と、挑戦が生み出した優れた道具だからでしょう。
古瀬 幸広氏のNICOLA派宣言をお読みください。
決して宗教ではありません。実際に親指シフトで日本語入力すれば、ローマ字かな変換入力がいかに脳にストレスをかけているかが実感できるはずです。


OASYS Pocket、OASYS Pocket2との大きな違い=DOS

さて、THE POQET PCの技術を会社ぐるみで富士通が買収したときから、日本語携帯PCを夢見た一人として、OASYS Pocketシリーズは常に注目の的でした。
しかし、オアポケ、オアポケ2はあくまでワープロであり、パソコンとのデータ連携を期待すると、FM-R(もしくはFM-TOWNS)用のFM-OASYS必須でOASYS文書形式のみ可能というデータ連携では、とうてい受け入れられるものではありませんでした。そこへ登場したOASYS Pocket3はDOSが使える、という事実にDOSファイルシステムでのデータ連携と、DOS汎用ツールの活用を夢見て早速購入してしまったものです。
本来、オアポケ3はOASYSというワープロ専用機ですが、パソコン通信機能や、PIMを動作させるためのプラットフォームとして、FM-R互換のDOSが動作するような仕組となっているわけです。
それを利用して、オアポケ3を携帯DOSマシンとして使ってしまおう、というわけです。
実際、ぼくは購入早々まず設定を変更して、起動するとOASYSのメニューすら出さずにDOSのファイラーが実行されるように設定してしまいました。
当時の富士通のパソコンのFM-Rシリーズと互換性のあるMS-DOSのために、かなりの種類のソフトが動作することが確認され、画面が狭いためにすべての機能が動作しない場合も、MIELのように機種対応されて不具合なく動作するようになっていきました。
MIELの作者のPaciさんにはその後市販のテキストエディタVZをオアポケ3へ移植していただいたため、DOS上では代表的なエディタがその豊富なマクロとともに使用可能となったのです。
オアポケ画面写真
オアポケ画面写真


NIFPもMIELもVZも動作する日本語DOSマシンが、単三電池2本で動作してどこでも持ち歩け、そして日本語の入力は快適なNICOLAキーボードで可能という、まさに夢のような環境が実現したわけです。


長所と短所


しかし、致命的な問題点もあったのです。

DOSで動作しているときはサスペンド・レジューム機能がない

これは悲しいです。
電池が切れたらそれまで、すべての入力データ等の情報は消失してしまうのです。
もちろん、OASYSというワープロ機能を使う範囲では文書データは保護される仕組みとなっているのですけれど、OASYS文化は現在主流のエディタ文化との間に大幅な違いがあります。
挿入モードもなければ、半角ANKもない世界に今さら戻れるはずもないでしょう。

逆に、オアポケ3の優れた点も見逃せません。

抜群に視認性の良い反射型モノクロ白液晶による画面。

これは、現在でも携帯電脳随一でしょう。
特に、タッチパネルによって視認性の落ちたWindowsCEマシンやINTERTopは見習って欲しいものです。
その他の長所、短所を列挙しておきましょう。

優れた点
問題点

実は、おいしいケーキ屋さんデータベースはHP100LXで作成を開始し、当初FEP100の日本語化環境で入力を行っていました。
その後、オアポケ3を購入したため、L1DBでCSV形式にコンバートしてオアポケで入力を行っていました。
長文作成には当時のHP100LXよりオアポケ3の方が日本語処理能力が上だったのです。
その後、ATOK8等のDOS用FEPをHP100LXで利用できるようになり、HP200LXのガイドを書くのはLXで行いました。
やはりLXのレジューム機能はわずかな時間の合間に書けるので親指シフトの快感が恋しいぼくでもLXの方が便利に感じてしまいます。


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文市(あやち)=青野宣昭