源氏物語をたずねてのおさんぽで、欠かせない場所がある。
西本願寺の側、下京区花屋町通堀川東入ルにある風俗博物館だ。
「六條院春の御殿を1/4模型で具現化、源氏物語を体感できるミュージアム」だという。これは行くしかないではないか!
残念ながら日曜定休のため、なかなか足を運べなかったが、ようやく行ける日ができた。京都駅から歩いて行けるから、土曜日にちょっと朝寝坊して昼から出かけても大丈夫のはずだ。
京都駅からうろうろと歩いているうちに西本願寺が見えて来た。西本願寺に面した堀川通を上ると、そこにあるはずだが・・・。仏具屋さんが並んでいるけれども、博物館らしき建物は見えない。良く探すと、井筒法衣店のビルに案内が出ている。
店の事務所に入り、エレベーターで5階に行く。ちょっときまり悪い。
5階に行くと、そのフロアは博物館になっていた。
いきなりミニチュア六條院が眼前に広がる。
タカラのジェニーちゃんとそのおともだちは1/6サイズだから、もう二まわりは大きい勘定だ。また、衣服の素材感が違う。そしてこれだけ大きいおうちはジェニーちゃんやリカちゃんでは見たことがない。
六條院は4町に及ぶ巨大な邸宅だった。残念ながら、ここではその全てを再現することはできていない。春の御殿の寝殿と東の対だけである。
その模型だけでフロアが埋まっているようだ。ぐるりと周りを歩きながら見学する。
女房たちもたくさん並んでいるが、最初に目にとまったのは立ち姿の紫の上である。
そうとは書いていないが、一人輝く華やかさでそれと察することができる。
東の対に回ると、夏の御殿に模してあり、玉鬘と花散里、源氏が座っている。寝殿の裏側に回っていくと、明石の上らしき人、さらには、鼻の頭が赤い人物が・・・。
空蝉の青鈍色の衣装がなかなかきれいだ。
一周すると、エレベーターの裏側にもう一つ部屋があった。こちらは1/1スケールのようだ。
靴を脱いでから上がるように書いてある。どうやら実際に部屋に入り込んで良いようだ。宇治の源氏ミュージアムとはだいぶ扱いが違っている。
これ幸いと、几帳や脇息に触りまくり、はては御帳台に入り込んで座ってみる。
「あさきゆめみし」で夕霧が大臣にゆるされて雲居雁に再会するシーンを、几帳ごしに抱きしめる絵で表現していたのを読んで、あの布はごわごわしているんじゃないだろうかと思ったものだけれども、この模型の通りならあのシーンは可能だな、と思い直す。
展示を堪能した後、受付で「源氏物語 六條院の生活」という本を買う。この模型の写真が豊富に掲載された大きな本だが、中に源氏物語をたずねてというコラムを見つけたからだ。
今年、源氏物語にはまって、現代語訳を色々読んで、そして源氏物語のあとをたずねるお散歩をしている。まだ行ったことのない場所もあるので、そのうち足を運ぼう。
今日はとりあえず、六条院のモデルとなったと言われる、源融河原院跡をたずねることにする。京都の通りをぽくぽくと歩いて、ずいぶん探した跡に、碑を見つけた。・・・このあたりだったのかな。ずいぶん、広いんだなあ。